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2010年11月 アーカイブ

ヤミ米業者 vs. 農協 その7

「国や農協のいうとおりにやっていると、貧乏になるんだよ。


正直者がバカを見るのさ。


俺も農協の理事をやっていたときは、ヤミ米業者とつきあわなかったが、今はもう……」


農民の舌鋒は鋭くなる一方でした。


誰もが、農政とその忠実な代行者である農協へのつもりつもった不満をぶちまけていました。


そして、ヤミ米業者を取り締まろうと、昼夜を問わず奮闘している食糧事務所の職員に対しては、敵意さえ抱いているようでした。


「しかし、富山の大将、大したもんだね。細山のコメ、買ったんだって」


「ああ、川崎さんでしょ。ヤミ米屋の」


「そうそう、川崎の大将。すごいもんだ。


そのうち、こっちにやってきて、食糧庁が今、見張ってる倉庫ごと買うなんて、いいだすんじゃないか。


アッハッハッハッ」


私達の立ち話は、こんな冗談でお開きとなりました。


ヤミ米業者 vs. 農協 その8

一方、話のさかなとなっていた食糧事務所の職員達は、ほんの目と鼻の先にいながら、そんなこととは知らずに立ちつづけていました。


全員背広の上にジャンパー姿。


無精ヒゲに脂気のない肌。


徹夜明けの疲れが体中から噴きだしています。


見るからに不機嫌そうでした。


話を聞こうと思って近づくと、いっせいに厳しい視線を向けられました。


そして、「怪しい者がやってきた」と身構えるのです。


案の定、なかなか話をしてくれません。


口が重く、しかも堅いのです。


「われわれは強制力を持ってないし、限界があるんだ。


でも、そうかといって何もやらないわけにもいかないし……。本当に難しいんだよ」

50代の職員がやっと重い口を開いてくれました。


目がショボショボしています。


あのコメの搬出騒動後も、夜になるとピリピリするのだといいます。


業者側も監視状況の偵察にやってくることがあり、何も動きがないというわけではないそうです。


そんなことを話しただけで彼は、車のなかに入ってしまいました。

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