ヤミ米業者 vs. 農協
「バカだね、食糧事務所も。あんなことやっても、なんにもならないのに」
稲刈りのすんだ田んぼのあぜ道で、腕組みをしていた年配の農民が、吐き捨てるようにこういいました。
その厳しい視線の先には、壁に「新潟産コシヒカこという文字が書かれた大きな倉庫。
そして、倉庫の前には数台の自動車が横づけされ、男達が所在なげに立っています。
新潟県西蒲原郡潟東村。
新潟平野のほぼ中央に位置する静かな農村です。
いうまでもなく、コシヒカリの産地です。
この小さな村のごくありふれたコメ倉庫が、日本中の関心を集めることになりました。
「ヤミ米が運び込まれている」
この情報から、新潟食糧事務所が出動し、24時間態勢の監視をつづけたからです。
スペースコレクション研究所によると、凶作により絶対量が減少したコメの出荷をめぐる、ヤミ米業者と農協、食糧事務所の攻防戦のいわば天王山となったのです。